自分の思っていること、日本語でも話せますか?

 語学学校の話でも出てきた「車いすの乗車問題」「ヌーディスト」についてなど、英語以前の問題で、日本語でも全く意見が浮かんできませんでした。

 この二つの件に関しては、私が無知であったのは、いうまでもありません。自分の無知さを棚に上げるわけではありませんが、日本人は自分の意見を述べるのが苦手な人種だと思います。どちらかというと、相手の意見をくみ取って、あまり自分の意見は主張しないですよね。特に社会人歴が長ければ長いほど、その風潮が染みついてしまっているのではないでしょうか?日本人が悪いとか、英語圏の人が良いとかの話ではなくて、まずはお互いの考え方の違いを理解することが、英語習得への一番の近道です。

英会話スクールに通ったことがある人は想像しやすいと思いますが、外国人の先生から、簡単な質問をされたのにもかかわらず、答えられなくて気まずい体験をしたことはありませんか?

私はたくさんありました。

イギリスに行く前に約1年ほど英会話スクールに通っていたのですが、よく会う先生に「What’s new?」と聞かれて「Nothing special.」と答えることがほとんどでした。当時は会社員で、毎日のルーティンワークで特に新しいこともない日々。週末に出かければ、それにまつわる話もあるけど、家でだらだら過ごした週末は、まさに「Nothing Special.」以外言いようがありませんでした。それにもかかわらず、「そんなはずはない、何かしてるだろ。」と頑なに質問を続ける先生がいました。正直、苦手でしたね。

今、私も英語講師として、当時の彼と同じ立場になってみて分かりますが、何か話すことを引き出そうと努力してくれていたんだなと思います。日本人は特に初対面の相手や心が打ち解けていない相手には自分の近況や気持ちを言うのが苦手です。それが英語となると、もう何も言えない沈黙状態になる方ばかり。そんな状況を、せっかくレッスンに来ているのだからと変えようとしてくれていたんですね。もっと早く気付けていれば、ロンドン生活も快適にスタートしたのではないかと思います。

これは一つの例に過ぎませんが、英語圏の人と日本人の質問の仕方では大きく変わってきます。分かりやすい例を出します。

例) 先週観た映画について話したとき

・友達が日本人の場合

友達「昨日、公開されたばっかりの映画観に行ったんだよね。」

私「そうなんだー。どうだった?」

友達「ミステリーだと思ってたんだけど、恋愛も絡んでて、最後は親子のことで泣ける映画だったよ。」

とまぁこんな感じです。

次に、

・友達が英語圏の人の場合

友達「昨日、公開されたばっかりの映画観に行ったんだよね。」

私「そうなんだー。どうだった?」

友達「主人公の状況がちょっと前の自分と重なってさ。彼氏から言われるセリフはグサッと胸に刺さったよ。」

どうですか?この2パターンの違い、分かりましたか?

あくまでも一例ですが、日本人は大枠の概要を答えるのに対し、英語圏の人には自分がどう感じたかの意見を答えています。よっぽど映画のセリフが良かったり、心に響かない限りあんまり相手に伝えないですよね?ここが大きな違いです。英語圏の人は常に自分の意見を考えていて、相手にも主張しています。

これは日本語と英語の言語の特徴にも関係していると思います。日本語と英語の大きな違いの一つに、「主語」があります。日本語は日常会話であれば主語を省くことがほとんどです。話す度に「私は、私は」と言っている人がいたら、大人であればちょっと嫌がられるかもしれません。

一方で、英語は必ず主語を必要とするので、話の度に「I…, I…」と繰り返します。私自身、英語を話している時は、日本語を話している時に比べると、ちょっと強気な気がします。毎回主語を使い、「私が言っている」ということを主張しているからかもしれません。

こういった言語の違いを理解しておくと、急な質問にも対応しやすいです。英語圏の人と話していると、日本に住んでいた時には考えたこともないくらいに、意見を求められることが多いです。お互いに話し合って議論する、ということは友達の会話で頻繁にありました。

これに関しては、訓練で鍛えないとかなり難しいです。私は約二年かけて訓練しました。映画を観る際も、ただぼーっと観るのではなく、誰かの言葉や状況に共感できないか。もしくは強い反対意見を持てないかなど。一度慣れてしまうと簡単で、今では無意識に色んなことを考えているので、英語圏の人と会話をしている際に、意見を求められても困ることはほとんどありません。だからと言って、全てのことに関心を持つ必要もなく、知らないのであれば曖昧に濁すのではなく、「知らない」と言える自己主張も大切だということです。

ここで書いたことは、英語力に限らずまずは日本語力の問題なので、しっかりと自分自身と向き合ってほしいなと思います。