英語力を鍛える前に「日本語力」を鍛えよう

まずお伝えしたいのは、「日本語力」を鍛えてください、ということです。

英語を話せるようになりたいのに、「日本語力?」と思う方が大半かもしれません。

私もイギリスに行く前は、英語力を上げることだけに力を注いでいたので、日本語に注目したことはありませんでした。今この本を読んでくださっている方の大半が、母国語が日本語だと思っているので日本語と勝手に決めつけていますが、要は母語・母国語を鍛えてください、というのが私の意見です。

今でこそ、グローバル社会に対応できるように、英語を話せる人材が重宝されています。私の周りでも、社内の公用語が英語になっているとか、TOEIC600点以上取らないと昇進できないという声をたくさん耳にします。それほどまでに、特に大手企業で働くには英語が必須になってきています。

でも実は、日本はとっても恵まれている国なんですよ。娯楽の映画にしても書籍にしても日本語訳があり、英語やその他の言語が出来なくてもほとんどのものが楽しめますよね。また、文献や論文に関しても、親切に日本語訳をしてくれているものが多く、外国語が出来なくても情報を手に入れることが出来ます。他の国とは違って、母国語で思考できるのです。

一方で、中国や台湾、またインドや東南アジアに目を向けてみると、英語を話せる人の多さに驚くかと思います。私がこの仕事を選んだ理由の一つに、多くのアジア人が英語を話せることで、日本の今後に危機感を感じたからです。しかし、よく考えると彼らと日本人とでは英語に対する熱意と必死さが大いに違います。

中国とインドにおいては、人口は多いものの中国語やインド語で発表されている論文や有名な本は数少ないです。インド映画に関しては、ボリウッドというカテゴリーで人気を博していますが、世界中で人気があるわけではありません。東南アジアにおいては、植民地の背景もあり、また観光業を主にしている国も多く、お金を稼いで生活していくという点で英語が必要です。全てのことにおいて、日本語訳が用意され、日本語で仕事が出来る日本人にとって、彼らと同じ熱意で英語を身に付けることが難しいのは明白です。この点を見据えないで、他国と比べて英語を使える人材がいない、と一概に決めてしまうのはおかしいと感じています。

これを理由に、私は全ての日本人が英語を話せる必要はないと思っています。英語講師という仕事柄、こんな発言は不適切だと思われる方も多いかと思いますが、この思いはイギリスにいた頃から変わっていません。むしろ全員が話せる必要がないからこそ、話したいと思っている人は話せるようになればな、と思っています。

私が、生徒さん含め周りの方からよくかけられる言葉として一番多いのが、「英語ペラペラなのが羨ましい。」です。では、「ペラペラ」とは一体どういうことでしょうか。

多くの方が、第二言語を話すときに、一度頭の中で自分の母国語で考えます。私たちの場合は、日本語ですね。私もイギリスに行った当初は、自分の言いたいことを日本語で考えていました。その考えた日本語を頭の中で英語に翻訳します。そして、その翻訳した英語を口に出す。これが、英語で話す仕組みです。

では、「ペラペラ」とはどういった状態か。頭の中での日本語から英語への翻訳が早ければ早いほど、周りからはペラペラと思われます。スムーズに会話が出来ているので、周りからペラペラと思われるんですね。

よく日本人で多いのが、「英語話せません。」というセリフなのですが、私からすると、このセリフを発している方のほとんどが英語を話せていますよ、と思います。

「Do you speak English?」と英語で聞かれて、

「No, I can’t .」だったり「I don’t speak English.」と答える人が大多数です。

それ、英語ですからね。

外国人の方からしたら、英語で返事が返ってくるのに話せないって、自分とコミュニケーションを取りたくないのかなと思います。

でもそんなこと言ったって、みなさん自信無さげに「英語話せません。」というのは、おそらく「ペラペラ」の域に達していないと思っているからなのでしょう。

この時点ですでにもったいないなと思ってしまいます。しかし、これは私たちが受けてきた教育方針の結果であり、国民性も伴っているので、ここでは議論しません。過去の教育方針や国民性で片づけてしまっては、私たち日本人は「ペラペラ」になれる可能性はないのか?と諦めるのは待ってくださいね。「ペラペラ」になれる方法はあります。

それが、「日本語力を鍛えること」です。

日本人の私たちなので、英語を超えるほどの日本語力はすでに身についている方がほとんどです。

これなら、出来そうって少し思いませんか?嫌いで苦手な英語と向き合う必要はありません。日々使っている日本語を鍛えるだけです。

まずは頭の中に作る日本語を簡単にします。ここが最大のポイントです。どんなに難しい話でも、幼稚園の子が分かるレベルの日本語に変換していきます。難しい英単語を覚えて、難しい英文法を使いこなすよりも、簡単な日本語を並べて文章を作った方が英語に変換できる確率も上がるし、その際にかかるスピードもアップできます。

まずは自分の意見を、簡単でシンプルな日本語で用意できるだけの日本語力を鍛えましょう。